いつも大変お世話になっております。シルバーライン外装建材の【井上商事株式会社】です。
当社では製品のご紹介や設計協力などで設計者様ともよくお話しさせていただきますが、ここ数年、雨といに関するお悩みをよくお聞きするようになりました。
• ゲリラ豪雨や線状降水帯の発生など、従来の想定を超える降水量の雨が頻発するようになったので、
たてといを屋内に隠せなくなった。
• 一方で、たてといを外部に出すと建物のデザインに影響するので悩む。
• 雨だけでなく風などの気象条件も厳しくなっているので、特に高層建物では耐風圧強度なども気になる。
など、特にデザイン性と機能性の兼ね合いにお悩みであると感じます。
そこで今回から数回に分けて「アルミ雨といの進化と新常識」をお伝えします。
お伝えする内容の中には、すでにご存じの内容もあるかも知れませんが、一つでも新しい発見やヒントがあるようにお伝えしますので、ぜひご覧ください。

排水量計算
第一回目は、設計者様からご相談いただく事が最も多い排水量計算(サイズの選定)についてご説明いたします。
雨といのサイズは、主に排水量と、建物外観デザインとのバランスからお選びいただくと思いますが、特に大事になるのが排水量です。雨水を流す役割がある以上、排水量が不足するとたてといの役割も果たせません。そこで改めて、雨といの排水量計算の手順をお伝えします。
手順は大きく分けて5つです。
1.降雨強度の決定
2.ドレンの種類の決定(ねじ込み式、差込式、軒とい)
3.サイズの仮決め
4.水平投影屋根面積の計算
5.たてとい本数の計算
一つずつご説明して、最後には当社からのご提案ポイントも記載いたします。
1 降雨強度の決定
まずは降雨強度(設計上の降雨量(mm/h))をお決めください。
施主様、事業主様などの指定値があればその数値ですが、特に無い場合は設計者様のご判断になります。
2 ドレンの種類の決定(ねじ込み式、差込式、軒とい)
次にドレンの種類をお決めください。
陸屋根などの場合は、ドレンの種類をねじ込み式か差込式かご選択ください。なお、高度水頭(パラペットの高さ)は通常30cmで設定しておりますが、計算の中では変更することも可能です。
金属屋根や瓦屋根で、軒といをお使いの場合は「自在ドレン」になりますが、軒といと組み合わせる場合は軒といのサイズも関係します。

3 サイズの仮決め
一旦目安のサイズをお決めください。
過去のご経験や建物の規模感、また使いたいサイズがあれば、それを元に仮決めしていただけますと後の計算がしやすくなります。
角型の場合は角型たてといのサイズとドレンのサイズを選ぶ必要があります。
また軒といとセットで使用する場合は軒といのサイズもお決めください。
軒とい自体の排水量の計算も必要ですし、[2]でもお伝えしましたがたてといの排水量は軒といのサイズによって変わります。
4 水平投影屋根面積の算出
続いて、屋根の水平投影屋根面積を算出してください。
注意点として、屋根には必ず勾配があると思いますので、勾配で分けた屋根面ごとに計算していただいた方がより正確な計算ができます。
例えば切妻屋根の場合ですと、単純に屋根全体の面積を一つとするのではなく、棟を基準に二つに分けて、更に軒とい自体の水勾配も考えるとなお正確です。
また高層の建物などで大きな壁面がある場合は、壁面の面積の二分の一を屋根面積に加算してください。

5 たてとい本数の計算
最後に、[1]から[4]で設定した値を元に、たてといの本数を計算します。
1.降雨強度、2.ドレンの種類、3.サイズによって、1ヶ所あたりの適応投影屋根面積(排水可能な屋根面積)が算出できます。
そして、その適応投影屋根面積を[4]で出した水平投影屋根面積で割って出した本数が必要本数です。
例えば、降雨強度200㎜、ドレンの種類ねじ込み式、たてといのサイズは60Φの場合、1ヶ所あたりの適応投影屋根面積は53㎡となります。
仮に計画している屋根の水平投影屋根面積が500㎡ですと、500÷53で約10本のたてといが必要という計算です。
10本は多すぎるという場合は、例えば89Φ(同条件で適応投影屋根面積121㎡)に変更して5本にするなど調整してください。

当社のアプローチ1 降雨強度について
降雨強度の判断に悩まれる設計者様がよくいらっしゃいますので当社の参考値をご紹介いたします。
当社では、気象庁のwebサイトで公開されている[過去の気象データ]から建設地の[過去最大の10分雨量]を参考にしています。
例えば東京23区内の場合、
[東京都][東京地点]の[観測史上1位~10位の値」を検索すると[日最大10分間降水量]の1位の値が[35㎜]となります。
計算には1時間あたりの数値に直す必要がありますので、上記の35mmを6倍して[210mm/h」を降雨強度に設定する、という手順です。
少し多く感じられるかもしれませんが、ゲリラ豪雨は短時間で一気に降ります。昨今の気象条件を考えますと、決してオーバースペックではないと考えます。
当社のアプローチ2 ドレンついて
ドレンの種類が決まっていない場合は、たて引きドレンの場合は差込式、横引きドレンの場合はねじ込み式ドレンとしていただいても差し支えないかと思います。
基本的に、ねじ込み式よりも差込式の方がドレンの口径が小さくなるため計算の上では安全側の結果となります。また横引きドレンはねじ込み式しかありません。
なお、軒とい用の自在ドレンは当社のアルミ軒とい【アルノキ】以外でも使用できますが、軒とい本体の形状や寸法によっては使用できない場合もあります。詳しくは当社の営業担当までご相談ください。
(陸屋根に使う打ち込み式ドレンについては、ドレンメーカー様のwebサイトなども参考にしてください。)
当社のアプローチ3 排水能力表について
当社が提示している排水能力表とは別に、空気調和・衛生工学会の給排水衛生設備規準(SHASE-S206)でも雨水排水管径ごとの許容最大屋根面積表があります。こちらはそもそもの計算式が異なる為、条件によっては結果が異なる場合もあります。一般的には、外部の場合は当社など雨といメーカーの排水能力表を、PS内を通る屋内配管の場合はSHASE-S206を参考にすることが多いようですが、どちらを参考にするかは、設計事務所様、建設会社様、設備工事会社様などで協議の上お決めください。
当社のアプローチ4 エクセル計算シートのご紹介
ここまでご紹介した計算を手計算で行うのはなかなか大変ですよね。1、2ヶ所ならともかく、何ヶ所もあるとそれだけで多くの時間がかかります。また上述しました高度水頭の調節を手計算で行うのは非常に大変です。
そこで当社では、エクセル上で入力することができる計算シートをご用意しております。当社webサイトからダウンロードできますので、ぜひご利用ください。

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いかがでしたでしょうか。
降雨強度が厳しくなると、計算の結果、たてといの本数が想定以上に必要になることも起こります。
• 4本程度で考えていたのに6本必要になった。
• 本数は増やせないのでサイズを上げざるを得ない。
• 配置などを考えていくとデザインへの影響が大きい。
そのような問題が起こらないように、ぜひ設計の初期段階で計算をしてください。
ファサードのデザインに入る前に概算でも出していただき、たてといも含めてデザインしていただければ、後々大きく変更する事態を避けられると思います。
当社のアルトイは金属製たてといとしては業界一のサイズラインナップを誇ります。丸型でしたら最大216Φ、角型も最大150角までご用意しており、大規模建築物でも対応可能です。
また、カタログに掲載している施工事例の中には、基本設計段階からご相談いただき設計されたものも多くあります。少しでもお悩みでしたら、ぜひお気軽に、営業担当までご相談ください。
次回は、デザインの可能性を広げる、【アルトイ】の金具のバリエーションをご紹介します。














